毀誉褒貶が著しい大久保利通。薩摩藩が大国イギリス相手に立ち向かった薩英戦争においても「人は途方もないところで、途方もないことをいわれるものだ」と呆れかえることがあった。
イギリス艦隊の様子を見ようと、大久保が屋根に上ったところ、うっかり足を滑らせてしまう。すると「大久保は偉そうなことを言っている割には臆病者だ」とからかわれたのだという。晩年になっても、大久保自身が語っていることからも、よほど理不尽な思いを感じたのだろう。
なにしろ、大久保はそのとき、足を引っ張られるしょうもない噂に構っている暇はなかった。当時、大久保を取り巻く状況について「東洋経済オンライン」で詳しく書いたので、参照されたい。
天皇の意向も時に無視「大久保利通」政治力の凄み
一難去って、また一難。目まぐるしく変わる状況にも心が折れることなく、現実が少しでも改善する方向に手を打ち続ける。激動の幕末においては、特にそんな粘り腰が必要だったらしい。薩摩藩の大久保利通は取り巻く…
また『泣ける日本史』でも、大久保と西郷のエピソードを収録。ぜひこちらも。