名言の裏側!坂本龍馬が「日本を今一度洗濯いたし申し候」に込めた真意とは?

偉人コラム

偉人の名言はどうも一人歩きしやすい。さまざまな誤解が広がり、発言者の全く意図しないかたちで後世に残ってしまうことさえある。

坂本龍馬の名言は「誤解」というほどではないが、前後のニュアンスを踏まえれば、その印象は大きく変わってくる。誰もが知る、この言葉のことだ。

「日本を今一度洗濯いたし申し候」

倒幕を目指した、龍馬らしいスケールの大きい言葉……として解釈されやすい。だが、前後を踏まえると、かなり限定された状況を指していることがわかる。

「江戸の同志、旗本・大名・その他と心を合わせながら、幕府の悪い役人たちを撃ち殺して、この日本を今一度洗濯しなければならないことを祈願する」

このとき、龍馬は27歳。脱藩を決意した翌年、姉への手紙のなかで出てくる文言だ。実は、当時の龍馬にとって「日本を洗濯する」とは「幕府の役人を撃ち殺す」という、いささか物騒なもの。外国を打ち払う攘夷に踏み切れない幕府への、龍馬の怒りが込められた言葉だった。

その視野はどちらかというと、狭い。龍馬が開国思想に目覚めて、広い目で世の中を見るのは、このあとの勝海舟に出会ってからのことである。

龍馬を始めとした偉人ほどイメージで語られやすく、むしろ本人の意図しない「迷言」のほうが、実像に近かったりする。偉人の名言とともに迷言も収載した『偉人名言迷言事典』に詳しい。もちろん、龍馬も取り上げている。

偉人名言迷言事典

龍馬はこのほかに「自由奔放」というイメージが強いが、実際は、脱藩後も実家とのしがらみに悩んでいた。そんな話も本書では収録している。総勢100人の偉人を集めた一冊。

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